循環器の主な病気
高血圧
診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上を高血圧といいます。高血圧の状態を放置すると、脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、脳卒中や心臓病、腎臓病などの重大な病気を発症する危険性が高まります。日本高血圧学会では2025年8月に「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を発表し、降圧目標を「年齢・合併症を問わず」診察室血圧:130/80mmHg未満、家庭血圧:125/75mmHg未満としています。またガイドラインでは「薬だけで血圧を下げる」のではなく、生活習慣改善の重要性をさらに強調しています。当クリニックでは、適切な薬物療法だけではなく、栄養指導・運動指導・生活指導・測定機器の確認などを通じて、皆さまの血圧管理をサポートいたします。健康な将来のために一緒に考えていきましょう。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症とは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が増えたり、「善玉」のHDLコレステロールが減っている状態のことをいいます。この状態を放置していると動脈硬化が起こり、ゆっくり進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患をまねくリスクが高まります。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。「内臓脂肪型肥満」ではLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。また、遺伝性の「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。ご家族で脂質異常症や狭心症・心筋梗塞が多い方は、一度受診されることをお勧めいたします。
虚血性心疾患
心臓が働くために必要な酸素や栄養素は、心臓をとりまく冠動脈を通って運ばれます。この冠動脈が動脈硬化やけいれんなどで狭くなったり、詰まったりして、心筋に十分な血液が行き渡らなくなることにより引き起こされる病気を虚血性心疾患とよび、心筋梗塞・狭心症などが含まれます。以下の方は虚血性心疾患になりやすい(危険因子)といわれています。
高コレステロール血症・低HDL(いわゆる善玉コレステロール)血症
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- 肥満
- 若年の冠動脈疾患の家族歴
- 男性
急性心筋梗塞
心筋梗塞とは、動脈硬化が進行して冠動脈にできていたプラーク(血液中のコレステロールや脂肪からできた粥状の物質)が冠動脈を突然塞いでしまい、心筋に血液が供給されなくなり、心筋が壊死してしまう疾患です。突然、胸が重苦しくなり、締め付けられ押しつぶされるような症状が現れます。冷や汗が出たり、吐き気を伴うこともあります。ただし、高齢者や糖尿病患者の場合、はっきりとした痛みがなく、なんとなく具合が悪いという症状のみであることもあり、注意が必要です。胸の痛みを感じた方や、危険因子を有する方で体調不良などがありましたら、早急に受診するようにしてください。
不安定狭心症
不安定狭心症とは、後に述べる狭心症と急性心筋梗塞の間にあると考えられる状態です。放置しておくと高い頻度で急性心筋梗塞症に移行する可能性があり危険です。
これまでなかったような労作時の胸部圧迫感(胸が締め付けられるような症状)がみられ、「頻度が徐々に増加している」「より軽い労作でもみられる」「安静時にも胸部圧迫感が出現する」「胸部症状の持続時間が比較的長い(20分以上)」というような場合には、不安定狭心症が強く疑われますので早めにご相談ください。
労作性狭心症
労作性狭心症は「階段を上ると胸が締めつけられるように痛くなる」、「重いものを持ち上げたり、坂道を歩いたりすると胸が苦しく痛む、安静にすると楽になる」という症状がみられます。痛みの特徴は圧迫感や絞扼(こうやく)感などがあり、前胸部、みぞおち、肩、頸などに生じます。歯やのどが痛むケースもあります。
安静時狭心症、冠攣縮(れんしゅく)性狭心症
安静時狭心症は、夜、就眠中、明け方に胸が苦しく押さえつけられたような発作が起こります。多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣(けいれん)を起こして収縮し、血流が一時的に途絶えるために生じると考えられています。冠攣縮性狭心症ともいいます。痛みの性質や部位などは労作性狭心症と同様です。
心臓弁膜症
心臓弁膜症とは心臓にある弁に障害が起き、本来の機能や役割を果たせなくなった状態をいいます。大きく分けて、弁の開きが悪くなり血液の流れが妨げられる「狭窄」と、弁の閉じ方が不完全なために血流が逆流してしまう「閉鎖不全」があります。
典型的な症状は、息切れ、胸の痛みや違和感、めまい、意識を失う、疲れやすいなどがありますが、心臓弁膜症に特有なものはありません。症状があっても加齢に伴う体の変化に似ていることから、見逃されがちです。当クリニックでは聴診、心電図、胸部レントゲン、心エコーなどで弁膜症の診断・重症度を評価することができます
心不全
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など様々な心臓の病気によって、このポンプの働きに障害が生じ、色々な症状を引き起こしている状態をいいます。「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられ、急性心不全は、短期間で激しい呼吸困難などの症状が現れることから、重症の場合、命を失う危険性が高くなります。一方、慢性心不全は、ちょっとした動作でも動悸や息切れがしたり、疲れやすくなったりします。咳や痰が止まらない、むくみが出るといった症状が現れることもあります。
慢性心不全は生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)との関連性が高く、高齢になるほど発症する方が増えてくる傾向があります。
不整脈
不整脈は病名ではなく病態の総称で、心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態をいいます。大きく分けて脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の3つがあります。不整脈は治療の必要のないものから危険なものまで様々です。不整脈は健康成人では一般的で、不整脈がありながらご自身で気付かず、身体検査などではじめて不整脈を指摘される方もいます。一方、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発したりするものもあります。不整脈を指摘されたときや脈の不整、激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。放置しておいてもよい不整脈なのか、危険な不整脈に発展するものかなど、よく説明を聞いて適切な指導を受けることが大切です。
閉塞性動脈硬化症
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢動脈疾患とも呼ばれています。足に冷感やしびれ、歩行時に痛みを感じる、という症状があり、重症化すると手足に潰瘍ができ壊死することもあります。特に50歳以上の男性に多い傾向があり、肥満・高血圧・糖尿病・喫煙などが原因と考えられています。閉塞性動脈硬化症を発症した場合には、下肢動脈だけでなく全身の血管も動脈硬化が進んでいる可能性が高いので注意が必要です。